殺陣師の佐藤雅樹が殺陣と武道修行から得た "気付き" を易しく解説します


by Masaki Sato

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『風立ちぬ』

昨夜、ようやく宮崎駿監督の『風立ちぬ』を観てくる。

期待に違わず、心に染みる良い作品だった。

まあ、これまでの宮崎作品のような冒険活劇でもなければ
魔法や奇跡を描いたファンタジーでもなく

一職業人が時代に翻弄されながらも
己の信念に基づいて懸命に生きる姿を縦軸に

結核を患い余命幾ばくもない妻と
残された時間を慈しむ様に暮らす様を横軸に描きながら(※)

「一日一日を精一杯生きる」ことの美しさと尊さを
観る者に静かに訴えかける作品ではあった。

※二人の出会いから恋愛~結婚までが描かれているけれど
 自分としては結婚後の日常が一番印象に残っている。


私事で恐縮だが

これまでの自分は『生きる意味』というものに
囚われ過ぎるきらいがあった。

「何のために生きるのか?」と、ばかり考え
普通に働くことを軽視するところがあった。

「人の役にたたなければ仕事ではない!」
とまで考えていたかもしれない。

(誰の役にもたたぬ仕事などあり得ないのに)

それが最近
食品製造工場に転職をしたお陰で

価値観がすっかり変わってしまい

汗まみれ、油まみれで働く仲間達の在り方を
本当に美しいと思えるようになってきた。

例えば、多くの人達に夢を与える
プロ野球選手も素晴らしいけれど

毎日力一杯働いて
週末に草野球を楽しむ若者の生き方と

どちらが優れてどちらが劣っているなんてことは
誰にも言えないはずであって

本当はどちらの生き方も、尊く、美しいのである。

(映画の内容からは随分脱線してしまったけれど)

そんな当たり前の事にようやく気付き始めた自分にとって
この作品との出会いは正にタイムリーだった。

「それでいいんだよ・・・」

と、誰かにそっと肩を叩かれたような気がしたものだ。


さあ、感動したならば次は実践だ。

自分も、映画の中の二郎のように
一日一日を精一杯生きることにしよう。

答えはその中にある・・・というよりは

おそらく、それが『答え』なのだろうから。
by genshu-juku | 2013-09-01 17:59 | 趣味のこと | Comments(0)